ノロウイルスによる胃腸炎について
2016.01.30
ノロウイルスは人に感染性胃腸炎を引き起こすウイルスです。主に冬場に流行します。ノロウイルスは頻繁に遺伝子変異を生じ、年により流行株が異なることから一度ノロウイルスに感染した人も、再度ノロウイルスに感染することがあります。ノロウイルスの罹病期間は、流行株の種類や患者側の要因(血液型や免疫力など)に影響されます。

1.   ノロウイルスの罹病期間について

感染後1548時間の潜伏期間の後に、発熱、腹痛、嘔気、嘔吐や下痢などの症状が現れます。通常、症状は1〜5日間程度でよくなります。

2. ノロウイルス検査について

保険診療で認められているのは65歳以上の方や3歳未満の乳幼児などに限られているため、その他の方が検査を受ける場合は自費診療となります。保険診療による検査は簡易キットによるもので感度が高くないため、陰性であったとしてもノロウイルスに感染している可能性は否定できません。感度の高い遺伝子検査もありますが、自費で2万円ほどかかるため特殊の場合を除いて行われません。

3.ノロウイルスの排泄期間について

下の図は、健康な人(医療従事者)と病気を持った患者さん(入院患者)ごとに、ノロウイルス性胃腸炎患者のウイルス排泄期間を遺伝子検査で解析した結果です。平均排泄期間は医療従事者が15.2日、入院患者が19.3日でした。中でも、小児や免疫力の低下した患者さんでウイルスの排泄期間が遷延する(38週間)ことが明らかとなりました。



(Jpn. J. Infect. Dis., 2011, pp 107より一部改変)

4.ノロウイルス感染後の休職期間について

ノロウイルスに感染した場合の休職期間について、一般的な決まりはありません。理由として、

A 感度の高い検査が一般診療で行われていないので、本当にノロウイルス感染症かどうかの診断がつかない。

B 排泄期間と感染力についての知見に未だコンセンサスがない。

などが考えられます。しかし、ノロウイルスによる感染性胃腸炎は食中毒の原因となりますので、給食や食品を扱うお仕事をされている方の場合は遺伝子検査まで行い、ウイルス排泄がなくなるまでお仕事をお休みする必要があります。

2016.01.30 12:30 | 固定リンク | ノロウイルス
インフルエンザの予防
2016.01.25
インフルエンザは、インフルエンザウイルスが気道(鼻、のど、気管)に感染し発症する病気です。ウイルスが気道に感染する様式に、飛沫感染と接触感染があります。
① 飛沫感染
インフルエンザに感染した人の“くしゃみ”や“咳”によるしぶきをあびて、発症するパターンです。一般に、しぶきは1から2メートル飛散するとされています。インフルエンザを発症した人から約2メートル離れていればしぶきをあびません。また、近い距離にいてもマスクを着用していれば、直接しぶきが気道に入るのを防げます。
咳やくしゃみをしている人は他の人にしぶきを飛ばさないよう、マスクをしたり口や鼻を手で被ったりしましょう(咳エチケット)。
② 接触感染
インフルンザで汚染された場所を手で触った後に、その手で物を食べたりして感染するパターンです。石鹸による手洗いや手指消毒用アルコール製剤が有効です。街や駅など、人の多い場所に出た後は手を洗いましょう。
③ 予防接種
今シーズンのワクチンは、A型2種類とB型2種類の計4種類のウイルス株をもとに作製されています。予防接種には、インフルエンザの重症化を予防する効果があります。一方、予防接種をしてもインフルエンザを発症することがありますので、①と②の感染対策は重要です。ワクチン接種後、インフルエンザに対する抵抗力(免疫)ができるまで約2週間かかると言われています。
④ 抗インフルエンザ薬の予防内服
家族や職場でインフルエンザを発症した方と接触した場合、インフルエンザを発症していなくてもタミフルやリレンザなどの抗インフルエンザ薬をはじめることがあります。医療現場や受験生などが対象となることが多いようです。あくまで予防投与ですので、自由診療となり健康保険は使用できません。


寒い日が続いています。どうぞ、ご自愛ください。
2016.01.25 10:48 | 固定リンク | 病気のこと
インフルエンザ
2016.01.21
インフルエンザが流行りはじめました。
皆さん、インフルエンザの流行をどのように調べているかご存知でしょうか。各都道府県には定点と呼ばれる医療機関があり、来院したインフルエンザ患者数を集計しています。
地域ごとに定点施設あたりのインフルエンザ患者数を平均し、1週間あたり1.0を越えると流行が始まったと判断されます。また、10から流行発生注意報、30で流行発生警報が発信されます(警報・注意報発生システム)。


大分県でも2016年1月の第1週目から流行期に入りました。咳、鼻水、喉の痛みや熱がある際にはインフルエンザの可能性があります。ご注意ください。
2016.01.21 11:33 | 固定リンク | 病気のこと
方言
2016.01.21
先日は細雪が舞っていました。寒い日々が続いていますが、皆様お変わりありませんでしょうか。大分の冬をはじめて経験するのですが、ここまで冷え込むとは想像していませんでした。昨年までは北海道に住んでいたので寒さには慣れているはずなのですが….
今日は、北海道の病院でよく耳にした方言をいくつか紹介したいと思います。


1.「こわい」
内科医の私はよく耳にしました。「疲れる」の意味です。全身倦怠感を訴える際に、「体がこわい」というように使われます。何かを恐れているわけではありません。


2.「やむ」
「痛い」の意味です。「先生、最近腹がやんでさー、飯も食えねぇ。」と、お酒好きの漁師さんによく言われました。「頭やみがします。」など、若い女性も一般に使用します。


3.「いずい」
「目がいずいんです。」この意味わかりますか?北海道方言辞書には、「気持ちが落ち着かない」、「不愉快である」と記載されています。漢字では「居辛い」と書くそうです。


4.「にやにやする」
決して可笑しいわけではありません。標準語にするのが難しいのですが、強いて訳すなら「違和感」、英語ではdiscomfortでしょうか。


5.「あずましくない」
北海道以外では全く通じませんよね。実はこれ、年配の方がよく使われる方言で、「居心地がよくない」、「気分が落ち着かない」の意味です。例えば、ゴムがのびた下着をはいてしまった時に、「このパンツあずましくねぇ」という使い方です。患者さんの「なんかあずましくねぇ」は、「自分ではどこが悪いのか伝えられませんが、何か落ち着きません。どこか悪いのでしょうか?」というニュアンスです。


「よだきい」や「喉の奥がはじかいい」など、大分にも独自の表現がありますね。これからも色々覚えていきたいと思っています。

景晶

2016.01.21 09:07 | 固定リンク | 随想
ご挨拶
2016.01.19
2016年1月、栗林医院ブログを開設しました。
当診療所は、1988年に母の栗林多世子が開院しました。以来、地域の皆様が安心して受診できる、かかりつけ医を目指してきました。
2015年4月からは私、栗林景晶も共に診療に従事しています。
当ブログでは当院のことや病気のことを綴っていきたいと思っています。
どうぞ、よろしくお願いいたします。
2016.01.19 16:37 | 固定リンク | 栗林医院の紹介

- CafeNote -