ノロウイルス感染の予防
2016.02.04
寒さが続いていますが、皆様お変わりありませんでしょうか。今日はノロウイルスによる感染性胃腸炎にかからないようにするための注意点を記します。

1. 食中毒について

ノロウイルスで汚染された食べ物で感染することがあります(糞口感染)。自然界では、ノロウイルスは牡蠣などの2枚貝に潜んでいます。ノロウイルスは熱に弱く851分以上加熱すると感染力が失われます。

2. 公衆施設の利用について

多くの人が利用する駅や学校の共同トイレなどの環境は、流行期にはノロウイルスで汚染されていることがあります。ノロウイルスはアルコールに対して抵抗力があります。公共施設を使用した後は、流水や石鹸で手を洗いましょう

3. 吐物や汚染された環境の清掃

ノロウイルスによる胃腸炎にかかってしまうと、嘔吐することがあります。吐物が乾燥すると粉塵となって舞い上がり、感染の原因となりえます。また、ノロウイルスは塩素系の消毒薬で感染力を失うため、吐物は塩素系の消毒薬を用いて処理します。下の図に例示した消毒薬をバケツにつくり、新聞紙やペーパータオルを浸し軽く絞ります。これで吐物を被い、拭き取った後に破棄してください。この際、手が汚染しないよう使い捨ての手袋を使用しましょう。

     

(注)図は商品名の例です。以下を参考にして消毒薬を希釈してください。

10倍:900mlの水に対して100mlの消毒薬

50倍:980mlの水に対して20mlの消毒薬

250倍:996mlの水に対して4mLの消毒薬

2016.02.04 08:30 | 固定リンク | ノロウイルス
ノロウイルスによる胃腸炎について
2016.01.30
ノロウイルスは人に感染性胃腸炎を引き起こすウイルスです。主に冬場に流行します。ノロウイルスは頻繁に遺伝子変異を生じ、年により流行株が異なることから一度ノロウイルスに感染した人も、再度ノロウイルスに感染することがあります。ノロウイルスの罹病期間は、流行株の種類や患者側の要因(血液型や免疫力など)に影響されます。

1.   ノロウイルスの罹病期間について

感染後1548時間の潜伏期間の後に、発熱、腹痛、嘔気、嘔吐や下痢などの症状が現れます。通常、症状は1〜5日間程度でよくなります。

2. ノロウイルス検査について

保険診療で認められているのは65歳以上の方や3歳未満の乳幼児などに限られているため、その他の方が検査を受ける場合は自費診療となります。保険診療による検査は簡易キットによるもので感度が高くないため、陰性であったとしてもノロウイルスに感染している可能性は否定できません。感度の高い遺伝子検査もありますが、自費で2万円ほどかかるため特殊の場合を除いて行われません。

3.ノロウイルスの排泄期間について

下の図は、健康な人(医療従事者)と病気を持った患者さん(入院患者)ごとに、ノロウイルス性胃腸炎患者のウイルス排泄期間を遺伝子検査で解析した結果です。平均排泄期間は医療従事者が15.2日、入院患者が19.3日でした。中でも、小児や免疫力の低下した患者さんでウイルスの排泄期間が遷延する(38週間)ことが明らかとなりました。



(Jpn. J. Infect. Dis., 2011, pp 107より一部改変)

4.ノロウイルス感染後の休職期間について

ノロウイルスに感染した場合の休職期間について、一般的な決まりはありません。理由として、

A 感度の高い検査が一般診療で行われていないので、本当にノロウイルス感染症かどうかの診断がつかない。

B 排泄期間と感染力についての知見に未だコンセンサスがない。

などが考えられます。しかし、ノロウイルスによる感染性胃腸炎は食中毒の原因となりますので、給食や食品を扱うお仕事をされている方の場合は遺伝子検査まで行い、ウイルス排泄がなくなるまでお仕事をお休みする必要があります。

2016.01.30 12:30 | 固定リンク | ノロウイルス

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